#9 デザイン審査

今日は静的審査のうち「デザイン審査」について説明します。事前に設計資料を提出して、大会会場で行われる審査では実車と見比べながら設計や製作の適切さを審査します。設計資料では、過去車両からの変更点について、それぞれどのような背景に基づき変更されたのか、すべてにおいて根拠となるデータを明らかにする必要があります。このほか革新性や加工性、補修性や組立性などについても、審査時に口頭で試問されます。

静的審査の中では100点満点のコスト審査、75点満点のプレゼンテーション審査を上回る150点満点の配点であるデザイン審査は、自チームの車両の特徴をアピールしながら点を伸ばすことのできる、これまた落とすことのできない審査です。もちろん、他のチームと比べてこう違うんです、と猛烈な印象を与えることができてもきちんと速い車両でなければ総合成績を伸ばすことはできませんが、設計するときにはロマンを詰め込みたくなるものですよね…

こちらも大会のおよそ3か月前には事前資料を提出する必要があります。製作期にはいかに設計通りに車両製作を行えるかもカギとなります。

#8 コスト審査

昨日までは動的審査の内容を一つずつ説明していきました。大会日程的には順番が逆になってしまうのですが、今日からは静的審査の内容について説明していきます。個人的には静的審査の内容が一番わかりにくくて、今でも完全には理解できていません。静的審査についてすべてを完璧にわかりやすくは伝えられないのですができる限りのことはします…

今日は「コスト審査」についてお話します。コスト審査はその名の通り「コスト」に関する審査です。何に対する「コスト」かというと車両製作にかかるコストのことです。速くて強い、かつ安全性の高い車両を製作するにあたって、部品の耐久性や精度を含めた信頼性を重視することは非常に重要です。しかし、信頼性だけを追い求めてしまうと、莫大な費用が掛かってきてしまいます。

学生フォーミュラでは、低コストで信頼性の高い部品を使い車両を製作することが求められており、これは広く一般において企業に対しても言えることです。部品を購入するコスト、部品を加工するコスト、また一から生産するコスト、さらに生産する際に小数生産か、大量生産か、など、考慮すべき点はたくさんあります。大会のおよそ3か月前までに必要な資料をすべてそろえて提出します。

また、実際の車両製作にかかった費用の計上だけでなく、示された部品について、コスト上の課題を見つけ、その課題を解決するための設計変更案を提出するなど、課題提案と課題解決のプロセスと対策案の的確さを審査します。

部品点数も多く、車両製作に用いられる部品すべての設計図やデータを資料としてまとめる作業が気が遠くなるほど大変らしく、実際の車両製作とコスト資料作成のバランスをいかにとるかも一つのポイントになってきます。

#7 エンデュランス・効率

投稿7日目の今日は、「エンデュランス」について説明します。エンデュランスは、オートクロスと同じコースを2人のドライバーで合計20周走行し、そのタイムを競います。1周約1kmなので、合計で約20km継続して走行することになります。これにより、車両の安定性や耐久性などの総合的な性能を評価します。配点は審査の中で最も高い275点満点です。

1週間かけて行われる大会の最後に行われる競技で、特に大会最終日に走行する「ファイナル6」と呼ばれる組は、全体で上位6チームが走行を許される、多くのチームが目指している走行枠です。昨日もお話したように、エンデュランスの走行順はオートクロスのタイムによって決まりますが、ファイナル6に入ったからとはいえエンデュランスでも上位に残れるとは限りません。約20kmの走行は夏の暑い環境ではマシンにも強い負荷がかかり、完走することすら難しいのです。車両が蓄えてしまう熱を下げるシステムが正常に作動するか、走り続けてもフレームなどが折れることなく耐えられるか。完走するためには乗り越えなければならない壁がいくつもあります。

これらの壁を乗り越えるために、各チームは大会数か月前から「試走会」に参加します。主に授業のない週末に、各地の学生フォーミュラ連盟や支援してくださる企業様主催で行われます。GW頃から本格的に試走会が始まり、回によってアクセラやスキパを集中的に走行するときや周回走行を行うときなど様々で、各チームそれぞれの試走会で課題を見つけては拠点に返り改善を行う、といった作業を繰り返して大会に向けて調整を行います。特に大会直前期には周回走行を行う試走会が多く、大会当日と同様の暑いコンディションの中で車両の冷却性能などを検証することは非常に重要です。

ちなみにエンデュランス中に天候が悪化してしまうこともあります。2025年大会がまさにそうで、今大会ではエンデュランス中に2度もゲリラ豪雨に見舞われました。CUFPもその被害を受けたチームの一つです。エンデュランスでは2人のドライバーがそれぞれ10周ずつ走行します。前半ドライバーが走行を終え、後半ドライバーが走行を始めたところで雨が降り始め、次第に強くなっていきました。そのときタイヤは、乾いた路面に最適なスリックタイヤを装着していました。タイヤに溝がなく雨に濡れた路面の走破性は最悪なので、途中で溝のあるレインタイヤに交換する作業に追われました。無事完走することはできましたが、豪雨のため視界も悪く、レインタイヤを履いていても路面は滑りやすくスピードを出せないためタイムを縮めることはできませんでした。雨だからと言ってタイムに関して救済措置があるわけではないので、これはもう完全に運次第ですね。

エンデュランス後には「効率」という本当に最後の審査があります。これはエンデュランス走行を終えたマシンの、ICVなら燃料消費量、EVなら電力消費量を評価するものです。この審査を終えて大会での動的審査はすべてが終了となります。

#2 チーム概要・大会成績

*間違えて#1と同時に投稿してしまいました…今回は3/10日分の回です

昨日は「学生フォーミュラ」について説明しましたが、今日は「千葉大学フォーミュラプロジェクト(以下:CUFP)」について紹介しようと思います。

CUFPは、大学公認の団体ではなく、工学部公認の団体です。その起源は2004年8月にさかのぼり、当時の千葉大学自然科学研究科材料加工学教育研究室のメンバーを中心に発足しました。現在でもほとんどのメンバーは工学部の学生で、全部で20人弱で活動しています。CUFPは発足当初からICV車両で大会に参戦していて、2026年大会もICVクラスに出場します。

車両は様々な部分から成り立っています。チームによって枠組みは多少異なりますが、CUFPでは「サスペンション班(3/25)」「フレーム・ブレーキ班(3/26)」「パワートレイン班(3/27)」「エアロデバイス班(3/28)」の大きく4つの班に分かれて車両製作を行います。とくに「エアロデバイス班」は無いところも多くあります。私はというとこの4つのいずれにも属しておらず、「渉外(3/22)」「会計(3/23)」「広報(3/24)」などのチームマネジメントに徹してチームを支えています。

学生フォーミュラに参戦している各チーム、それぞれ異なる強みを持っていると思いますが、CUFPが特に得意としているのは直線の加速性能です。競技の詳細は3/12にお話ししますが、CUFPはこの加速性能を競うアクセラレーションでICVクラスの日本記録を保持しています!CUFPのマシンは、とにかく速いんです!昨年の2025年大会でもアクセラレーションでは、それまでもCUFPが保持していたICVクラス日本記録を破り、ICVクラス日本新記録を樹立して堂々の1位を獲得しました!「直線番長」ここにあり!

この他、周回性能を競うオートクロスで4位、旋回性能を競うスキッドパッドで7位、耐久性能を競うエンデュランスで13位など、動的審査で好成績を収め、総合では9位を獲得しました!エンデュランスでは途中から降り出した豪雨の影響で思うようなタイムを残せなかったことは残念でしたが、天気を味方につけるのもチームの実力なのかもしれませんね⁉一方、コスト(23位)やプレゼンテーション(29位)、デザイン(10位)の静的審査では得点が伸び悩んでおり、より上位の成績を収めるためにはこの改善が必要不可欠です。

大会にはそれぞれのチームが「カーナンバー」を車両につけて走行します。このカーナンバーは前回大会の総合順位を基につけられます。CUFPの場合、2025年大会では前回大会の成績から「C21」をつけて走行しました。2026年大会では、2025年大会でICVクラス総合9位だったので「C09」をつけて走行します。最初のアルファベットはクラスを指しており、「C」はICVクラス参戦車両、「E」はEV参戦車両と、一目でわかるようになっています。数字が小さいほど前回大会の順位が高かったことがわかりますが、数字が大きいからと言って侮るべからず。近年の大会では順位争いが厳しくなっており、わずか数点の差で順位が大きく変わってしまうことも。また、強豪チームでも大会で予期せぬトラブルに見舞われ、思うように結果を残せないことも。したがって、前回大会の結果だけでなく過去数大会分の結果も踏まえて大会の行方を追うのが楽しむポイントかもしれません。CUFPのようにそれぞれHPを公開しているチームも多いですし、大会会場では各チームの詳細情報や大会の見所などが掲載されている「ガクエフマガジン」が販売されているので、こちらもぜひ手に取って全力で大会を楽しみましょう!

#1 学生フォーミュラとは

今日から本格的に書き始めます。まずは、そもそも「学生フォーミュラ」が何かを書いていきます。ひとことで言えば、「学生版のF1」です。F1は世界最高峰の自動車レースで、莫大な予算が投じられ最先端技術が車両に詰め込まれています。

この「学生版のF1」はアメリカで始まったもので、机に向かって学んだことを実際に発揮する場として設けられました。日本でも自動車技術会主催で開催されており、優秀な技術者の確保も目的として行われています。界隈ではよく「ガクエフ」と呼ばれていますね。学生が作る車両なので、開発にかけられる予算は限られていますが、それでも各チームこだわりを持って作っており、大会会場では高いクオリティの車両を見ることができます。

第1回大会は2003年に行われました。以来新型コロナウイルス感染症の影響で開催が中止された2020年の第18回大会などを経て2025年9月には第23回大会が行われました。2024年大会からは会場が静岡県から愛知県に変わり、現在はAichi Sky Expo(愛知県国際展示場・以下:ASE)で実施されています。2025年大会からはICVクラスとEVクラスに分けられて競技が行われており、国内外合わせて80チーム以上が参加しています。

*ICV…Internal Combustion Vehicleの略で、ガソリンを燃料としてエンジンで走る自動車のこと。対義語として電気自動車を指すEV(Electric Vehicle)がある。

例年、日本大会は8月下旬から9月上旬にかけて行われていますが、2026年大会に限っては開催場所のASEの都合上、8月2日(日)~7日(金)の日程で行われます。例年よりも1か月ほど早く、各チーム大急ぎで大会に向けて準備しているほか、チームによっては大会日程が大学等のテストと重なってしまっているところもあるようです。

各チームはこの大会に向けて車両を製作していくわけですが、ただかっこいいマシンを作っているだけではありません。マシンの走行性能を競う、アクセラレーション(3/12)、スキッドパッド(3/13)、オートクロス(3/14)、エンデュランス(3/15)の「動的審査」のほか、車両は走らせずに審査を行うコスト(3/16)、デザイン(3/17)、プレゼンテーション(3/18)といった「静的審査」もあり、これらの総合得点(1000点満点)で順位を競います。

学生フォーミュラ公式サイトでは「公式」が各審査について説明していますので、ぜひこちらもご覧ください。また、大会は一般の方も現地で観戦することが可能です。しかし会場はASE、愛知県ですので、遠方の方は足を運びづらいと思います。学生フォーミュラ公式YouTubeでは動的審査の模様をライブ配信していますので、ぜひこちらから応援お願いします。

学生フォーミュラ公式サイト:学生フォーミュラ

学生フォーミュラ公式YouTube:StudentFormulaJapan – YouTube

予告

チーム広報担当の長谷部です。この度新歓担当にもなりまして、ロボコンや鳥人間に比べると知名度に劣る「学生フォーミュラ」がどんな競技で普段何をしているのかを、改めて整理してみようと思います。と言っても、私もまだ学生フォーミュラ活動をし始めてから1年もたっていないので素人同然です。さらに、弊チームでは唯一車両製作の各班に属していないので、パーツの設計がどうの、解析がどうの、製作がどうの、と詳しいことは語れません。その点、学生フォーミュラのことを全く知らない人と近い目線から説明することができるのではないかと思います。1年活動してきて、チームメンバーと話をしていると未だにわからない単語がビュンビュン飛び交っていて、話についていけないことも。難しい単語は一切使わずに、使うとしてもその都度意味を併記して説明していきます。

今回、「新歓」という名のもとこのブログを書いていますが、新入生のためだけに書いているというよりも、むしろそれ以外の方々にも知ってもらう良い機会になればいいなと思っています。

OBOGの方々、有識者の方々、未熟者が書いている文章ですので大目に見てください…ただ、ちんぷんかんぷんなことを言っていたらご指摘いただけますと幸いです。誤った情報を世に広めるわけにはいかないのですぐに修正いたします。

そんなわけで、本編は明日からスタートです。3月末まで毎日このブログを更新する予定です。はじめに学生フォーミュラや千葉大学フォーミュラプロジェクトについて少し紹介したあと、「動的種目」「静的種目」を1つずつ深掘りし、年間スケジュール、チームマネジメント、大会日程の説明などをしていこうと思います。

チームメンバーから「大変でしょ?」と言われていますが文章を書くのは割と得意なので今のところ平気です。終盤力尽きるかもしれませんが…お時間ある時に目を通していただき、学生フォーミュラについて少しでも知ってもらえればと思います。